四畳半商店 店主ドードーの日記

個人的な日記な面が多めのブログです!仕事の事も追い追い入れてきますー

フィリピンの教育制度改革"K to 12"。経済格差と教育格差を広げる可能性があると、僕は思う。

また批判的な内容で、お世話になっているJICAに怒られないかと心配だけど、個人的な日記なのであまり気にしないでください。

まあ一昨年に一度報告会で話させてもらったから、もう良いでしょう。

 

フィリピンの教育改革Kto12とは。

2011年から現アキノ大統領が行なった教育改革で、義務教育を2年増やして、

いままで:小学校6年間+高校4年間=10年で卒業。

これから:小学校6年間+高校4年間+高校2年間=12年で卒業。

になるというもの。

 

良いところは?

  1. 義務教育を12年間受けられるようになる。世界標準になる。
  2. 高校卒業後、海外の大学進学の際に奨学金を得られたりする機会が生まれる。
  3. 卒業後、すぐに就業出来る。(今まで卒業時16歳で法律上就業出来なかった)
  4. 追加の2年間でより良い人材が育成される。

といったところ。 

ノイノイ(アキノ大統領の愛称)はこのK to 12に付随して、全部で10の教育改善の取り組みを宣言してる。以下のリンク詳細。英語です。

 

10 ways to fix Philippine Basic Education: An Insight into Aquino’s Thinking as Presidential Candidate | Multilingual Philippines

 

簡単に10点まとめてみると..

  1. 義務教育12年化。
  2. 幼稚園導入。
  3. イスラム言語・文化の尊厳を守り、共に学べる学校づくり。
  4. 就業を見据えた職業訓練科目の強化。
  5. 小学校一年生、文字を読む力の向上。
  6. 理数系教科の強化。
  7. 基礎教育強化の為の私立の学校支援。
  8. 教科及び学年に応じた、母国語と英語の併用した授業展開。
  9. 教科書の質向上。
  10. 地方自治体と連携し、新たな学校建設。

一見素晴らしい。というかちゃんと実行されたら素晴らしいと思う。けどまだ少し違うとも思う。

 

現場に2年間居たからわかる事。

僕は2年間フィリピンのパナイ島の公立の職業訓練高校(日本の商・工・農業高校のようなもの)の家具製作科で教師として派遣されていた。

僕は教師でもなかった、教育というものに日本にいる時からそれほど興味はなかった。けどいち高校教師として2年間フィリピンの教育の現場で仕事した。

生徒は13-17歳で20人1クラス全員男子だった。生徒に直接指導する事の方が多く、毎日生徒と顔を合わせた。

作業台の上を土足で歩いて教室内を移動したり、道具は投げて置くのが当たり前だったり、珍しいから最初の頃はバカにされたりもした、モノを盗むやつもいたし、かけ算や分数が全然出来ないやつが多数派で、カンニングは普通にするし、先生は授業中抜け出して他の先生の所にお喋りしに行ったり、座学は先生が朗読したものをただ書き写し覚えさせ、実技の時間は先生が抜け出すから、やりたい放題抜けるし、さぼるし、大変だった。けど、これが日常だった。雨の日や連休明けの日、学校行事の前後の日などは当たり前に生徒は授業に来なかった。

家の農業手伝うから中退するとか、逆に23歳になって高校戻ってきてるとか、経済的な理由でクラスの3割くらい2年間で減ったりしてた。これは男子だったってこともあるし、学校全体ではそこまでじゃなかったと思う。

 

5割高校卒業出来てない。

調べてたら、フィリピン全体でも5割しか小学校から高校まで卒業出来てないようだ。マニラ行くとストリートチルドレンや、働いてる子供多いから決して大げさな数字じゃないと思う。ミンダナオのムスリムの人達も顕著のようだ。

原因は、お金がないんだって。

 

高校授業料は無料だけど。

高校までは授業料無料だけど、実際は色々金が掛かる。

  • 制服…みんな着てるし、お揃いで2、3枚必要だ。
  • 交通費…ジープニーとかに乗る学校遠い子が多い。
  • 昼飯代…弁当の子もいる。タッパに米パンパンに詰めて上に小さい魚が一匹乗ってたり、ソーセージが一枚乗ってたりした。
  • ミリエンダ代…フィリピン語でおやつ。これは文化でもある。
  • 学校行事代…毎月のようにイベントがあり、食事やギフトを用意したり、Tシャツ作ったり、貧しい子は参加出来ないけど、だだこねてどうにか出してもらったりしていた。

などなど、イベントは本当好き。それによって家計の出費も増えるし、欠席も増えるんだから辞めりゃいいと思ったけど、先生も生徒も楽しんでるからお金のある限りやりたいんだろう。

 

金があれば問題ない。金がないなら卒業がさらに難しくなる。

現状で5割が10年間の義務教育卒業出来てない。

なのにさらに2年間学校に行かないと卒業証書ももらえなくなる。

その大きな要因はそれに金が掛かる事だ。

また、卒業後に就ける仕事は無い。特に僕がいた人口3万人くらいの町では難しい。親戚のコネで都市に仕事に就くというのがまれにあるくらい。そういう家庭は良い方で、そうでない農家の家庭の親などは卒業させるという価値を高校に見いだせないから、出費の掛かる学校は辞めさせて、家の農家を手伝わせた方が良いと思うようになる。

 

k to 12はお金のある家なら問題ないし、大学進学にも就職にも都合がいいだろう。

 

JICAは2年間プラスされた事により、産業人材の育成が可能になるとか。ラグナ、カビテ州あたり(マニラから南下して一、二時間の位置)の日系企業に就職出来るようにパイロット校をまず進めているようだけど。

 

プロジェクト概要 | 技術教育モデル校支援プロジェクト | 技術協力プロジェクト | 事業・プロジェクト - JICA

 

必然的にその近郊の生徒は就職のチャンスを得られるだろう。

一方で都市及び都市近郊にさらに仕事が集中し、地方経済の衰退が進む懸念がある。都市と地方の経済格差が広がり、教育格差が広がる可能性があると思う。

 

地方の山の中に住んでる子でも、マニラのスラムに住んでる子でも、誰でもどこからでも安全に平等に教育にアクセス出来る状態を提供する仕組みを社会に作っていかない限り、格差になるだけだろう。

 

学校に来やすくなる仕組みと人材確保。

まずはインフラ整備。フィリピン全土と言っていいと思うけど、地方に行くほど舗装されてないし、山道なんかは雨の日ぐちゃぐちゃ。土砂崩れなんかも起きるから怖い。

あとは、送迎無料バスとか、給食制度も良いだろう。イベントは減らしたがらないだろうから良いとして。

教室や教科書の全員配布はもちろん、教員の確保も必要だ。

教員の給料上げて人材確保するべき。授業抜け出す教師も当たり前なので、海外に流出している優秀な人材をフィリピンの為に還元させるようにもっと国内に投資するべきだ。

 

 

産業人材って立派な名前だけど。

結局、日系企業の工場で働く安い労働力が必要で、その為には最低限計算とか出来ないとだから、文系じゃなくて理数系が強い必要があって、英語で理数科学ぶのもそういった外国の企業用に雇われやすいって言う、結局いつものフィリピン人っていう労働力の世界的な使われ方なんじゃないかっておもった。

それはフィリピン社会にも雇用を生んで、収入を得られる人が増える。間違いなく良い事でもあるけど、それは本当に良い事なのかなと思ってしまう。

 

いつもフィリピンは何かの影響下に縛られてて、それに都合良く使われる駒になってないか。それに気づけない、気づかせてもらえないんだよな。

 

だからもっと地域から何かを生み出せたら良い。フィリピンは素材の宝庫だと思うけど、上手く活かせてないのが残念なんだよな。

そういう地域で何か出来るのは協力隊かもしれないし、その可能性は十分あると信じてる。

 

あぎなるど―フィリッピン独立戦話 (中公文庫)

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