四畳半商店 店主ドードーの日記

四畳半商店の事と心のうちを出しています。

フィリピン・カダクラン村の手編み箒作りを訪ねた。〜その4〜

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箒作りの工房はSamaさんの為の整った場所だった。

 

ひとりで作業するにはちょうどいい大きさの部屋だ。

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幅の広い木のベンチと、向かいには火を起こす場がある。

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その上の棚にラタンやアノスなどの編みの材を燻蒸して使っている。

 

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持ち手の編み込みはラタン。 

箒の穂の元を6つに分けてまとめているのがアノスだ。

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アノスに関しては全く知らなかった。

ラタンだと思っていたが、違う植物だ。

上の写真が燻蒸したアノス。

 

植物の状態で見ることが今回出来なかったが、ラタンと同じように幹を割いて薄くし使用する。防虫と適度にツヤも出る為、煙で燻して使う。

 

いつもは片道7時間掛けて山道を歩き、山奥からラタンを伐採してくる。

 

今回は家の裏にあったラタンを収穫する様子を見せてくれた。

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直径は3-5cmで、長さ15メートル以上あっただろうか。

 

外皮には鋭く硬いトゲが無数にある。

ラタンは他の樹木の幹に巻きつき、光を目指すため、硬いトゲが引っかかりやすくちょうど良いのだろう。

 

トゲのある外皮の内側には白い皮があり、それを頼りに剥いでいくと外皮も一緒に剥がれ、トゲを気にしないで済む。

 

トゲのある外皮を削いだラタンも燻蒸させ乾燥させる。

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ラタンにも数種類あって、持ち手の芯に使うラタンと編み込み用の細いラタンとある。

 

「カダクランで採れるラタンは粘り強く品質が良いんだよ」

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Samaさんはカリンガで買ったラタンと比べ、実際に折って見せた。

 

カリンガで買ったラタンは粘りがなく折れてしまう。

 

カダクランのラタンは折れない。

 

かなり粘り強いようで、しなって元に戻るのだ。

下の写真の、太い方がカリンガのラタンだ。

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「一本50ペソで7個買ったから350ペソ損したよ」

Samaさんは自分の失敗の話も、最後はいつも笑う。

 

それからはカダクランのモノしか使わないそう。

 

失敗も笑えれば教訓だ。

Samaさんを見ていて思った。

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編み込み用のラタンは、編み込む前に再度薄く削いで、幅も鉄の特殊な器具に通して仕上げ的に削いでいた。

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タイガーグラスも伐採後、4-5日太陽の光に晒して乾燥させて使うそうだ。

 

しかし雨季では晴れの日が少ないため、乾燥に時間も掛かり、箒作りが止まってしまう事もあるとか。

 

僕が訪ねた時も、まさにそんな雨模様が続いていた。

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「フック掛けのアバカは買っているのか?」

と聞くと、アバカも自分で山からとるそうだ。

 

アバカは一見バナナのような植物だ。

 

茎や幹の部分を削いで、乾燥させると強い繊維が取れ、よって紐にすることができる。

 

Samaさんは最近白と茶色の2種類のアバカを混ぜて使っている。

白いアバカはよりしなやかで手のあたりも良く、茶色いアバカはロープに使われていた種類と同じで強い。

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「クオリティプロダクトを作りたい」

Samaさんは自分で工夫して品質を向上させようとする。

 

上の写真の古い茶色のラタンの箒は失敗作だそう。

よく見るとラタンの表面が均一じゃなく、色の薄い所と濃い所が縞模様のようになっている。

「均一な良いラタンじゃないんだ」

 

日本のものづくりでは当たり前のように行われてきた事だが、フィリピンで同じような感覚を持つ人間に会うのはかなり少ない、と今までの経験から感じる。

 

Samaさんのような人はもっと社会的に認められるべきだ。

 

バギオでカリンガ族の文化や音楽、竹工芸を紹介し活動しているEdayaの山下さんも仰っていたが、フィリピン社会で「職人」は地位が比較的低いというのは、やはりある。

 

現代には合わない職業の分け方だが、強いて言えば江戸時代の士農工商ならぬ、フィリピンでは士(役人?)、商、工、農といった感じだろうか。

 

工と農は田舎ほど混在し、2つで1つというところが多い。

 

閑散期に民芸品を作る、昔の日本の農家のような感じだ。

 

一部の都心の富裕層はクラフトマンシップやオーガニックな食べものへ価値を置き、移行している。今後の望みだ。

 

 

こうして、材料の収穫や編み込む前の下準備があるため、全ての時間を製作に使うことはできない。

 

そのためSamaさん一人で月に30-35本作るのが限界だとか。

 

箒の大きさは、大・中・小・ミニとあるが、ミニ以外はどれもほぼ同じくらい製作に時間が掛かるという。

 

持ち手の柄の部分のラタンの編み込む長さ以外は同じだ。

 

しかし箒が小さいほど、編み込む素材も細くなり、より難しい。

 

「細かくて編むのが大変なんだ。へへ」

 

特に箒小サイズの、アノスで6つに分ける編み込み部分が大変だとSamaさんは笑う。

 

素材も作り手の職人も全てカダクラン村

 

100% Made in Kadaclan だ。

 

実際の箒作りはまた次回。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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